工業化学雑誌
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2-クロルコニチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸の関与する共重合反応
土田 英俊伴野 亟計佐野 秀雄
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1970 年 73 巻 9 号 p. 2031-2036

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抄録

2-クロルエチルビニルエーテル(CEVE)-無水マレイン酸(MAn)共重合およびスチレン(St)-CEVE-MAn,2,5-ジヒドロフラン(DHF)-CEVE-MAn三元共重合を行ない,電荷移動型錯体(CT錯体)の関与を検討した。。
CEVEはMAnと交互共重合し,共重合速度RpはCEVEモル分率の高い所で極大となる。この事実から,単なるCT錯体のみの重合ではなく,遊離モノマーも関与する共重合と考えられるので,この動力学的証明を試みた。Rpは次の3式を考慮して式(4)を得た。m2・+Ck1→m2・(1)
m2・+M1k2→m1・(2)m1・+Ck3→m2・+M1(3)Rp=R-pa{x1-(a+b)/2a}2+(a+b)2/4a(4)ここで,a,bは定数,RpはCEVEのモル分率x1(max)で極大となる。
x1(max)=1/2(1+b/a)∝1/([M1]+[M2])≧1/2(5)
(5)式は全モノマー濃度の減少に伴いx1(max)が1/2から1に移動することを示しており,実験的にも確認された。三元共重合では錯体を考慮せず,あるモノマーについて単独重合性を無視した機構との本質的な差は認められなかったが,錯体間二元共重合として取り扱えることを確認した。この場合,錯体の反応性は,St-MAn>CEVE-MAn>DHF-MAnの順となり,イオン化ポテンシャルの低い供与型単量体ほど容易に錯形成し,高反応性であることを確認した。

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