日本化學會誌
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蛋白に關する研究(第十八報)
Gliadinの等電行爲と濃度律
近藤 金助村山 仁
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1932 年 53 巻 11 号 p. 1108-1114

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抄録

(1) 醋酸及醋酸曹達混合液内に於けるGliadinの等電行爲を考察することによつてGliadinがZwitter ion formとなつた時の會合力はAlbuminのものに比しては遙かに大なるもCaseinのものに比して小なることを實證してGliadinは准難溶性蛋白であることを明らかにした。
(2) 夫故にGliadinは難溶性蛋白の性質を具備すると同時に易溶性蛋白の性質をも相當に具備するのである。
(3) Gliadinの等電行爲は濃度律に從ふことを實證し併せて濃度律に對して理論的解明を與へた。
(4) Gliadinと言はず一般に蛋白が等電行爲を充分に發現する爲めには溶液が等電反應を呈すると同時に蛋白の濃度も亦最適であるべきことを指摘した。
(5) 夫故に蛋白の等電點を決定する爲めには溶液の反應と共に蛋白の濃度も亦重要條件となるわけである。
(6) Gliadinの等電點はpaH6.31及び其の附近であるが實驗液中のGliadinの濃度が最適でなければ見かけ上の等電帶は濃度律に隨つて伸縮移動するのである。

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