日本化學會誌
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澁黒温泉成因の化學的研究(第六報)
三浦 彦次郎
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1939 年 60 巻 6 号 p. 526-530

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抄録

1) 澁黒湧泉と安山岩,粘土或は大沸河中の轉石や礫との反應性を試驗した結果澁黒湧泉は地下にて岩石等と長時間共存状態にあつたものではなく從って地下より液相として湧出したものとは考へられない.それ故地下岩漿よりの揮發成分が噴出の途中地下水と遭遇し水溶液として地表迄上昇せるものと思はれるが,かかる機構により湧出する場合に於ても岩石等と充分作用する丈長時間相接觸共存しなかつた事を示してゐる.
2) 澁黒湧泉と大理石とは迅速に作用してアルカリ性となり溶存成分はそれに應じて増減する.
3) 大沸附近火山灰の滲出試驗の結果その滲出水は著量のSO4″, H., Al..., Fe...(+Fe...)等を溶出する事が認めれらた.從つてそれ等滲出水が湧泉に混入する時は湧泉の溶存成分は可なり影響せらるべき事が豫想される.

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