日本化學會誌
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螢光物質の研究(第七報)
珪酸亞鉛螢光體の螢光スペクトル及び螢光の理論
上原 康夫
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1940 年 61 巻 7 号 p. 741-751

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抄録

(1) ZnOとSiO2の各種の割合より成る珪酸亞鉛マンガン螢光體の2537Åの紫外線及び陰極線の刺戟に依つて生ずる螢光スペクトルを25°C及び-185°Cの温度に於測定し,分光寫眞測光に依つて其の螢光スペクトルのエネルギー分布を求めた.
(2) 各種の組成を有する珪酸亞鉛螢光體の螢光の明るさを測定し,メタ珪酸亞鉛螢光體は正珪酸亞鉛と無水珪酸との單なる混合物としてのみ考へることの出來ないことを示した.
(3) 珪酸亞鉛螢光體のエネルギー準位を測定し,吸收スペクトル,刺戟スペクトル,螢光スペクトル及び光電傳導現象等に對する理論的解釋を與へた.
(4) -185°Cに於ける螢光スペクトルを測定し, 5083Å及び5155Åの位置に線スペクトルを生じ, 5255Å附近及び5500Å附近より6500Å附近に亙る幅の廣い夫々α及びβ螢光帶(著者の命名)の存在することを確め,之等の螢光スペクトルは活性中心に於けるMnの中性原子の次の様な電子遷移に基くことを示した.
3d64s6D→6S5/2=6100Å(β)
3d54s4p〓sP5/26S5/2=5255Å(α) sPsp7/26S5/2=5155Å (線スペクトル) sP7/26S5/2=5083Å (線スペクトル)〓-185°C
3d64s〓4D7/26S7/2=5100Å (線スペクトル) 4D5/26S5/2=5180Å (線スペクトル)〓-250°C
(5) 紫外線及び陰極線刺戟に依る場合の活性中心に於ける刺戟エネルギーの吸收の機構に就て論じた.

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