日本化學會誌
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二チオン酸及び亞硫酸の定量
吉田 幸人
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1942 年 63 巻 11 号 p. 1533-1539

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抄録

二チオン酸の定量は強酸の存在に於いて封管中にて加熱分解せしめ生成せる亞硫酸を過剩の沃度及びチオ硫酸ソーダにて滴定するか1)又は封管なしに硫酸性(2N) (補水しつゝ)にて過剩の重クロム酸の存在に於いて1時間煮沸,之を分解せしめ殘存せる重クロム酸を逆滴定する事により二チオン酸を定量すと報告せられたり2)後者は實驗例少く安心して此方法を使用し難し,依つて著者は重クロム酸或は沃度酸による(臭素酸は不可, 20N硫酸酸性にて全部なくなる)二チオン酸の定量を試み定量可能なる條件を定めたり.
然して亞硫酸と種々の酸化劑との反應を實驗せる際多少の差こそあれ常に二チオン酸の存在を證し得たり.依つて亞硫酸を沃度にて滴定する従來の方法に於いては常に二チオン酸の生成する事實を認めたるにより,此沃度による滴定のみにては亞硫酸の定量は完全とは云ひ難く,此處に生成せる二チオン酸を尚更に定量する事により亞硫酸を完全に定量し得るを知り,重クロム酸による亞硫酸の簡單なる定量法を此處に報告す.

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