日本化學雜誌
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2-ハロゲノブタンの分子形
中村 清
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1957 年 78 巻 8 号 p. 1164-1170

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抄録

前報に述べた1,2一ジハロゲノプロパンのごとく液態においてトランス(t),ゴー一シュ(g)およびゴーシュダッシュ(g')の3形ともに安定形である例は少ない。この点をさらに検討するために不斉炭素原子にハロゲンを有する2-ハロゲノブタンの液態,気態わよび固態における分子形を赤外線吸収およびラマンスペクトルの解析により決定しようとした。2-ハロゲノブタンとしては2-プロムブタン,2-クロルブタンをとりあつかった。なお前者の光学的活性体をも合成し,各態種における異同をも検討したQ液態において2-プロムブタン,2-クロルブタンともにC-X伸縮振動に帰属されるスペクトル線は3本あり,これと骨格変角振動の本数を参考にして3形安定形であることが結論され,また気態においても両者ともにC-X伸縮振動スペクトル線は3本あり,3形安定形と結論される。固態においてはC-X伸縮振動スペクトル線は1本のみ残り骨格変角振動スペクトル線は4本で1形のみ安定形と結論される。帰属の知られた多くのハロゲン炭化水素のC-X伸縮振動の波数を整理することによりC-X伸縮振動のt,gおよびg'への帰属の表をつくることができ,これにより固態に残る1形は9と推定される。なお液態,気態において光学的活性体とラセミ体とのスペクトルには差異がなく固態においても僅かな差異しか認められない。

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