1961 年 82 巻 8 号 p. 1005-1008
活火山の火口内の噴気孔ガスの放射性成分含有量を知るため 1958 年 7 月 6 日, 7 月26~27 日の 2 回,阿蘇中岳火口底の噴気孔ガスを調査した。 同年 6 月 24 日阿蘇中岳は大規模な爆発を起したが,爆発後まもない 7 月 6 の噴気孔ガスはラドン含有量きわめて小さく,7 月 26~27 日にはやや大きくなった。しかし一般の噴気孔ガスのラドン含有量にくらべれば非常に小さい。このようなラドン含有量の小さいこと,噴気孔活動の勢力の変化にともなうラドン含有量の変化などから,活火山の火口内の噴気孔ガスにおいても,その中にふくまれるラドンは大部分比較的浅いところに存在するラドンの供給帯から供給されていることを推定した。なおトロンは検出できなかった。トロンが検出できないという結果は,全国の火山噴気孔のうち,温度の高い活動的な噴気孔でえた結果と一致するものであるが,その原因については今後の検討を必要とする。
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