日本化學雜誌
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EDTA 基礎液中におけるアンチモンのポーラログラフ的特性の検討
吉野 隆
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1961 年 82 巻 8 号 p. 1012-1013

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抄録

2.5~100m mol/l EDTA 基礎液中の Sb8+波の挙動を検討した (pH 3~10)。 実験はすべて非緩衝の基礎液 (全イオン強度約 0.3~0.7,ゼラチン不含) を用い,Sb3+の濃度は 1m mol/lにたもった。2.5~100m mol/l EDTA基礎液中の Sb3+波は pH の全域 (3~10) で観測された。Sb3+波は, log プロットその他から厳密には 2 段波とみられるところの見かけの 1 段波 (10~100m mol/lEDTA: pH4~5, 100mmol/lEDTA: pH 7~8) または比較的明瞭な 2 段波 (2.5~100m mol/lEDTA: pH5.6~7, 10~100m mol/lEDTA: pH9~10) としてえられた。これらの基礎液申のSb3+ E1/2は -0.55~-0.8V(vs.SCE) であった (pH3~10)。水銀滴下間隔が比較的小さい場合,ゼラチン不含の基礎液(2.5~100m mol/lEDTA, pH 3~10) 中で, Sb3+波の E1/2よりも負電位で水波をみとめた。Sb3+ 波は, i/√Hcorr の値の検討から,酸性および中性 (2.5~100ol/lEDTA) では拡散律速で,アルカリ性 (100m ol/lEDTA) では反応速度電流を含むと推定した。申性の第 1 波は,おそらくヒドロキソ錨体 (たとえば [Sb(OH)edta]) の還元による波であろうと予想した。分析の目的には,金属イオンの10倍盤の EDTA を含み, pH を 4~5 に規定した基礎液が適当である。たとえば 10mol/lEDTA,ゼラチン 0.001%, pH4,6 の基礎液中では, Sb3+ 波の E1/2は安定で(約 -0.7 vs.SCE),波高と濃度の比例性も良く (Sb3+: 0~2.0m mol/l), 拡散電流定数 I は 1.64±0.04 であった。

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