日本化學雜誌
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トリリン酸ナトリウムに対する各種金属イオンの焦点クロマトグラフ的挙動
木曾 義之
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1961 年 82 巻 8 号 p. 1024-1027

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抄録

焦点クロマトグラフ法に必要な錯化剤としてトリリン酸ナトリウムをえらび,鉄,ニッケル,銅,コバルトおよび鉛イオンの分離にあたって pH 勾配と錯化剤の濃度の影響を調べた。また放射性核種 90Sr(90Y) および 106Ru の無担体イオンを試料として,電圧の変化,試料塗付帯の幅の大小による分離線図の状態をも検討した。また実験の結果,トリリン酸塩は本報に対する良好なる錯化剤であることがわかり,また本法の特長としてつぎのこともわかった。加電圧と加電圧時間の積の等しいときは,加電圧の大小に関係なく分離線幅は等しい。試料塗付帯の幅が大きいときは,その幅に多少の差があっても,十分な同一時間後では,同一分離線図を生ずる。分離の順序から判断すると,これら金属錯イオンの安定度の序列はつぎのとおりである。Fe(III)>Pb(II)>Cu(II)>Co(II)>Ni(II)。

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