日本化學雜誌
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銅錯塩としてのアミノ酸の定量法
松岡 学
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1961 年 82 巻 8 号 p. 1032-1036

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抄録

Jopes, Martin らによって紹介されたリン酸銅懸濁液を用いるアミノ酸の定量法において誤差の原因を追求すると,もっとも大きな理由はリン酸銅の溶解度がポーラログラフ的にかなり大きいこととその再現性にとぼしい点にある。これは溶液と固体との間の反応を利用しているためであろう。したがって誤差を小さくし,再現性をよくするためにはこのような反応をさけるべきであると考えられる。さて一方銅イオンは水酸化ナトリウム溶液を用いて pH 9 に調整すると完全に水酸化銅として沈殿し,DC ポーラログラフの最高感度 (0.002μA/mm) でもまったく銅イオンの波を現わさない。 したがってリン酸銅懸濁液を調製しこれをアミノ酸の定量法1033アミノ酸溶液に加えてアミノ酸銅錯塩を生成させるかわりに銅イオンを加えたのち pH 9 に調整する方法がはるかに簡単にアミノ酸銅錯塩を生成し,しかも上述の誤差の原因もさけられるであろうと考えた。この点についていろいろ検討を行ない満足すべき結果が得られたので以下に詳細を報告する。

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