日本化學雜誌
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トレオニン銅錯塩のポーラログラフィー
松岡 学
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1961 年 82 巻 8 号 p. 1036-1038

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抄録

銅 1 原子と α-アミノ酸 2 分子とから錯塩を生成することが Kober によって報告されて以来,多くの研究者によっていろいろの方法で証明された。ことにグリシンとアラニンの銅錯塩に関する報告が多いが,これらのアミノ酸は 1:2 (CuA2) の錯塩のほかにさらに配位数の多い錯塩の存在が報告されている。著者は第 1 報でトレオニンおよびセリンの id-pH 曲線が他のアミノ酸とやや異なる曲線を示すこと,および α-アミノ-β-オキシアミノ酸に関する詳細な報告がないのでトレオニンについてポーラログラフ法で検討を行なったところ,このアミノ酸も 1:2 (CuT2) の錯塩のほかに 1:3 (CuT3-) および 1:4 (CuT42-) と考えられる錯塩が,グリシンやアラニンと比較して銅に対する錨形成剤の濃度が比較的低濃度で生成することがわかった。またこれらの錯塩の解離定数はそれぞれ 2.55×-15, 1.14×10-16 および 2.99×10-17 であった。

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