日本化學雜誌
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ミリアシンの構造とサワミレチンの構造との関係
阿部 昭吉
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1961 年 82 巻 8 号 p. 1057-1059

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抄録

イソサワミレチン(3β-メトキシオレアン-12-エン)(X)を酢酸中で二酸化セレンにより酸化すると, C31H46O3, mp253℃,[α]D-87.8°,λmax 281mμ, log ε 4.2 の板状結晶が得られた。これは 3β-メトキシオレアナ-9(11),13(18)-ジエン-12:19-ジオン(III)であり,ミリアシンまたはミリアシンオキシドを二酸化セレン酸化して得られたものと等しいことがわかった。
イソサワミレチンは塩化水素により,二重結合の転位を起して, C31H52O, mp189℃, [α]D-23.4° の針状結晶となった。これは 3β-メトキシ-オレアン-13(18)-エン(V) であり,ミリアシンに塩化水素を作用させて得られた mp189℃ の結晶と等しいことがわかった。
3β-メトキシオレアン-13(18)-エン(V) を過安息香酸により酸化し, C31H52O2, mp262℃, [α]D+42.5°の板状結晶を得た。このオキシドは塩化水素で処理するとC31H50O,mp 210°~211℃,[α]D-63.0℃,λmax(log ε) 243mμ(4.3), 250mμ(4.4), 260mμ(4.2) となった。これは 3β-メトキシオレアナ-11,13(18)-ジエン(IV)であり,ミリアシンオキシドを塩化水素で処理して得た化合物と等しいことがわかった。
これらの事実と前報の実験結果から,ミリアシンの構造を 3β-メトキシオレアン-18-エン(3β-メトキシゲルマニセン)(I)と推定した。

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