日本化學雜誌
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グラヤノトキシン-I および-III の官能基の性質
柿沢 寛
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1961 年 82 巻 8 号 p. 1096-1103

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抄録

シャクナゲ科植物中に広く存在している有毒成分グラヤノトキシン-I(G-I), C22H36O7を加水分解すれば, 1分子の酢酸を失なってグラヤノトキシン-III(G-III), C20H34O6を生じる。G-I をアセトンと無水硫酸銅で処理すればイソプロピリデン化されるとともに 2 分子脱水した物質 C25H36O5 を生じ,これを接触還元すれば 2mol の水素を吸収して飽和テトラヒドロ体を生じる。この物質はなお赤外スべクトルに水酸基の吸収を示すので, G-III のすべての酸素原子は水酸基となっている。またイソプロピリデン誘導体の酸化反応生成物の物理的,化学的性質から 5 員環第二水酸基が 2 個存在していること,および G-I の過ヨウ素酸酸化物の牲質から α-グリコール基の存在していることがわかった。このほかの反応および物理的性質から G-I は図 7 の部分構造をもった 4 環性の物質であることが明らかになった。

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