日本化學雜誌
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猿ケ石川における出水時の水質変化
後藤 達夫
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1961 年 82 巻 8 号 p. 987-993

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抄録

北上川支流猿ケ石川の札場橋地点で,1957 年の夏期と1958 年の夏期に連日水質観測を行ない,出水時の水質の時間的変化の模様ならびに水質と流量との関係をくわしく検したので,この結果について述べる。
一般に,出水時には流量の増加にともなって濁度,比抵抗は増加し,逆に硬度,塩基度,カルシウムイオン濃度および塩素イオン濃度は減少する。濁度の最高値は流量の最高値に先行し,比抵抗の最高値および硬度,塩基度,カルシウムイオン濃度ならびに塩素イオン濃度の最低値は流墨の最高値よりもおくれて現われる傾向が認められた。また,減水期の水質の時間的変化の状況から降雨による表面流出の終了するときをほぼ推定することができた。
さらに,個々の出水時について水質と流量との関係をくわしくみると,同一流量でも流量の上昇期と下降期とでは化学成分の濃度が異なり,化学成分の濃度と流量との関係の時間的変化を示す曲線は複雑なループ型を示した。また,流域の各支流の出水時期が違ら場合は,出水時の水質の変化の模様が異なることがわかった。

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