日本化學雜誌
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有機質汚垢の天然汚染布からの除去
角田 光雄大場 洋一
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1968 年 89 巻 9 号 p. 835-839

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抄録

天然汚染エリ布を種々な洗浄液で洗浄した場合, まず除去されてきた有機質汚垢と, 除去されずに繊維に残存していた汚垢とを, 赤外吸収スペクトルおよびセファデックス LH-20 ゲルを用いたゲルロ過法で比較検討した。赤外吸収スペクトルの結果からは, 塩化メチレン洗浄で除去されてきた有機質汚垢は, エステル結合のνcoによる1740cm-1付近の吸収と遊離脂肪酸の CO 基による1710cm-1付近の吸収強度はほぼ等しい。トリリン酸ナトリウムを含む水溶液で洗浄した場合, 除去されてきた汚垢の吸収強度は, 1710cm-1>1740cm-1であるが, 繊維に残存してる汚垢の吸収強度は, 1710cm-1<1740cm-1であった。ゲルロ過の結果でも, 除去されてきた汚垢は繊維に残っていた汚垢に比較して, トリグリセリド類を主体とする流出曲線の第1ピークの高さが小さく, 一方, 脂肪酸による第2ピークの高さは大きくなっている。トリリン酸ナトリウムを含む水溶液による洗浄では, 脂肪酸の方がトリグリセリド類よりも除去されやすいと思われる。
この結果は, トリリン酸ナトリウムなどのビルダー作用機構を考える上で興味深い現象と思われる。

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