1968 年 89 巻 9 号 p. 892-894
含イオウモノマーのラジカル重合性におよぼすイオウ原子, ならびに置換基の効果を検討するために, 3種のビス (フェニルチオ) エチレン誘導体, すなわち cis-1,2-ビス (フェニルチオ) エチレン(1), traas-1,2-ビス(フェニルチオ)エチレン(2) および 1,1-ビス (フェニルチオ) エチレン (3) の合成を行なった。これらモノマーはいずれもラジカル開始剤によって単独重合性を示さず, またスチレンとの共重合性も小であった。えられた Q, e 値はつぎのとおりであった。
(1) :Q=0.026, e=-2.3, (2): Q=0.059, e=-2.5, (3); Q=0.45, e=-2.9
以上の結果から, ビスフェニルチオ基のエチレンへの結合位置による反応性の違いは立体効果と, それに基づく共鳴安定化の違いによって説明された。
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