日本化學雜誌
Online ISSN : 2185-0917
Print ISSN : 0369-5387
ISSN-L : 0369-5387
ビス (フェニルチオ)エチレンの合成と重合
大津 隆行津田 和一福水 富弥井上 弘
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 89 巻 9 号 p. 892-894

詳細
抄録

含イオウモノマーのラジカル重合性におよぼすイオウ原子, ならびに置換基の効果を検討するために, 3種のビス (フェニルチオ) エチレン誘導体, すなわち cis-1,2-ビス (フェニルチオ) エチレン(1), traas-1,2-ビス(フェニルチオ)エチレン(2) および 1,1-ビス (フェニルチオ) エチレン (3) の合成を行なった。これらモノマーはいずれもラジカル開始剤によって単独重合性を示さず, またスチレンとの共重合性も小であった。えられた Q, e 値はつぎのとおりであった。
(1) :Q=0.026, e=-2.3, (2): Q=0.059, e=-2.5, (3); Q=0.45, e=-2.9
以上の結果から, ビスフェニルチオ基のエチレンへの結合位置による反応性の違いは立体効果と, それに基づく共鳴安定化の違いによって説明された。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top