高分子に対する可塑剤添加の効果を調べるため,リン酸トリクレシル(TCP),フタル酸ブチルベンジル(BBP),フタル酸ジオクチル(DOP),セバシン酸ジブチル(DBS),セバシン酸ジオクチル(DOS)で可塑化したポリ塩化ビニルについて,比容の測定,応力緩和測定ならびに減衰振動法による粘弾性測定を行なった。可塑剤濃度は4.5-16.0%で,測定温度は-20-100°Cである。
貯蔵弾性率,損失弾性率の温度分散曲線は可塑剤濃度の増加とともに低温側に移行し,転移領域は広がる。この作用の強さの順序はDOS>DBS>DOP>BBP>TCPのとおりであった。
基準温度82°Cにおける緩和弾性率のマスターカーブは可塑剤添加により短時間側に移り緩和スペクトルは広がる。この作用の強さの順序も前と同様である。
シフトファクターaTの温度依存性は一応WLF型になるがそのC10, C20パラメーター値は通常の普遍値と一致しない。可塑剤濃度の増加はC10, C20パラメーターの増大をもたらす。また,少量可塑化PVCのガラス状態において逆可塑化現象も観測された。
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