日本化學雜誌
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四塩化炭素の光分解による四塩化炭素-水素供与体系の光電導
松田 俊介小門 宏井上 英一
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1971 年 92 巻 1 号 p. 47-50

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抄録

四塩化炭素は紫外光(主としてで2537Å)で励起すると,塩素原子とトリクロルメチルラジカルとに解離する。このとき,これらの生成物と水素を含んだ物質(水素供与体)とを共存させると,反応生成物の一つとして塩化水素が生成する。したがって,水素供与体と四塩化炭素との混合液を励起すると,塩化水素の解離による光電流が得られる。8種の水素供与体が用いられた。
実験の結果は,塩素原子による「見かけの水素引き抜きの効率」を見積るのに用いられた。この評価にさいし,解離定数と誘電率との間にFuossの関係,粘度と移動度にStokesの法則を仮定している。
もっとも効率のよい水素供与体は, 2-プロパノールであり,もっとも効率の悪いものはベンゼンであった。
「見かけの水素引き抜きの効率」は, Porterらによるベンゾフェノン三重項の水素引き抜き反応と比較すると,溶媒ごとの差が大きい。これは本報の系においては,連鎖反応の可能性があるためと考えられる。この観点から連鎖反応の鎖長の相対値が求められた。

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