日本化学会誌(化学と工業化学)
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炭化チタン付ニッケル触媒上でのアセトン水素化におけるイソブチルメチルケトンの生成
岡田 正秀浅見 幸雄渡辺 文雄
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1973 年 1973 巻 4 号 p. 683-686

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抄録

窒素中(I)および空気中(II)焼成後水素還元した量論的炭化チタン担持ニッケル触媒150℃におけるアセトン水素化特性を調べた。
Iでは多量の2-プパノールとわずかのイソブチルメチルケトンを生成したのに対し,IIでは少量のアルコールとともにケトンを優勢に生じた。X線分析により,Iでは金属ニッケルと量論的炭化チタンのほかにいくらか酸化ニッケルの,IIでは上記種以外にいくらか二酸化チタン(ルチル型)の存在することが知られた。炭化チタン付酸化ニッケル(III)およびルチル付ニッケル(IV)はどちらも両液状生成物の生成に対していくらか活性を示すことがわかった。主生成物はIIIではアルコール,IVではケトンであった。無担体ニッケル上では反応生成物中にケトンは存在しなかった。
それゆえ実験結果から,酸化ニッケルを含むまたは含まないニッケルと二酸化チタンを含むまたは含まない炭化チタンを組み合わせた触媒系がアセトンの水素化において2-プロパノールとイソブチルメチルケトンの同時生成をもたらしたと結論される。

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