1973 年 1973 巻 4 号 p. 686-690
オレフィン部分酸化における金属パラジウムの特異な触媒作用を解明するために,酢酸中におけるオレフィンの接触的アセトキシル化反応をプロピレンおよびn-ブテンを用いて調べた。プロピレンのアセトキシル化反応では,活性炭担持パラジウム触媒を用いた場合酢酸イソプロペニルも生成するが,金属パラジウムの触媒作用によるものは酢酸アリル(P1)だけである。-方,n-ブテンのアセトキシル化反応はやや複雑である。この場合,金属パラジウムの触媒作用に帰せられる生成物としてCH2=CH CH(OAc)CH3(B1), CH3CH=CHCH2OAc(B4), CH2=CHCH=CHOAcのシスおよびトランス異性体(B5,B6)および1個の未同定物質(B3)が得られ,その生成物分布はn-ブテンの種類や触媒の状態によっていちじるしく変化する。これらの結果においてn-ブテンからB1,B4が生成する事実はプロピレンからP1が生成することとともに主反応に対してπ-アリル機構が適用できることを示すものであろう。ただし,n-ブテンのアセトキシル化反応での複雑な結果を説明するには副反応もまた考慮しなければならない。これらについて水相懸濁パラジウム触媒によるオレフィン部分酸化と関連させつつ考察した。
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