日本化学会誌(化学と工業化学)
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ウラン-アンチモン系複合酸化物触媒のアクロレイン合成活性と触媒構造
野崎 文男須郷 公英
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1973 年 1973 巻 4 号 p. 690-696

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抄録

既報に継続して,U-Sb-O系複合触媒のC8H6からCH2CHCHOへの酸化活性と触媒構造との関係を触媒調製法を変えたいろいろの触媒について検討してつぎのような知見を得た。共沈法および沈着法によって調製した触媒が活性および選択性にすぐれており,含浸法では選択性のよい触媒は得られない。また触媒調製出発原料としての酸化アンチモンはSb2O8がよく,Sb2O5では選択性のよい触媒は得られない。触媒構造と選択的酸化能との関係は複雑で一義的に決められないが,触媒調製過程中に複合酸化物USb8O10の生成がみられる触媒が一般的に選択性がよい。C8H66酸化反応を流通法とパルス法とで比較して,触媒の種類によってはCH2CHCHOのCO2への完全酸化がO2の共存により抑側される事実を見いだした。また触媒のESR測定から触媒中にU5+とO2-などの常磁性種があること,およびU5+の存在量と触媒活性とは直接的な関係はないがO2-やO-の存在はCH2CHCHOの選択的生成に重要な関係をもつことなどがわかった。

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