日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
ベンゼンのグロー放電反応における放電管付着物質の検索と水-ベンゼン系およびメタノール-ベンゼン系の放電反応
吉川 彰一野村 正勝前野 徹郎
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 1973 巻 4 号 p. 767-771

詳細
抄録

ベンゼンのグロー放電下での反応を行なうと液状生成物やガス状生成物(これらの分析はすでに前報で報告した)の他に放電管内に樹脂状物質が得られる。この樹脂状物質をエーテル可溶部とベンゼン可溶部にわけ,前者をカラムクロマドグラフィーおよび薄層クマトグラフィーで分析したところナフタレンとビフェニルが単離され,また他のスポットの質量スペグトルを検討したところフルオレン,フェナントレンとアントラセンの両者あるいはいずれか一方,およびビアセナフチレンが存在していることが推定された。また後者からメタノ一ルによる再沈殿法によって黄色のポリマー状物質が得られたが, これはそのIRスペクトルおよび元素分析値から上記の縮合多環炭化水素を骨格とするポリマーであると推定される。一方,ベンゼン-水およびベンゼン-メタノール系でのグロー放電反応を行なった。前者の反応系ではフェノール,o-,m-,p-クレゾールがベンゼン単独のグロ一放電反応で得られる生成物他に存在することをガスクロマトグラフィー分析から推定するとともに後者の反応系ではこれらの生成物の他にベンジルアルコールが生成していることを認めた。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top