日本化学会誌(化学と工業化学)
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多硫化ナトリウムによα-ニトロナフタレンの還元
橋本 静信藤井 宏紀
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1974 年 1974 巻 1 号 p. 117-121

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抄録

α-ニトロナフタレンの硫化ナトリウム還元に関して,工業的に還元を行なうために,いろいろの検討を行なった。この結果,硫化物の濃度が高くなるにしたがいα-アミノナフタレンへの選択率は低下することが判明したが,硫化水素ナトリウムと水酸化ナトリウムと硫黄のモル比を変えることによって,高濃度の場合(約20%の硫化水素ナトリウム)でも高い収率でα-アミノナフタレンを得ることができた。さらに工業的に必要な条件の検討を行なった結果,調製した硫化物の溶液は1日放置したのち使用するのが好ましい。還元剤の必要モル数は,理論の3倍以上使用することが好ましい。反応温度は高いほどよい。塩化鉄(III)の存在は,α-アミノナフタレンへの選択率をよくするが,水酸化物イオンの増加は悪くすることが判明した。-方,被還元物質の品質もα-アミノナフタレンへの選択率に大きな影響を与えることがわかり,CU-ニトロナフタレンでは,温水洗浄したものが好ましいことが判明した。これらの各条件を組み合わせることにより,最適条件を定めることができた。この結果選択率93%でα-アミノナフタレンを得る方法を確立することができた。

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