日本化学会誌(化学と工業化学)
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帯域融解における有効分配係数におよぼす諸因子の検討
岩野 俊彦横田 俊幸
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1974 年 1974 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

帯域融解によって物質を分離,精製する場合,融解帯の移動速度やかきまぜ速度は有効分配係数に大きな影響を与える。また融解帯が移動し結晶が生長するさい,溶融体の一部が結晶内に包含され精製効果を減ずることが知られている。
そこで,固液界面における固体の溶質濃度は部分的に液相の濃度:と平衡にたもたれ,結晶が生長するさいには液相の一部を取り込みながら析出すると仮定し,有効分配係数におよぼす融解帯移動速度や,かきまぜ速度の影響について検討した。
実験は分配係数が1より大きいナフタレン-β-ナフトール混晶系(A),および1より小さいフェノールール3-クレゾール混晶系(B)の二つの系について行なった。試料は溶質濃度が3wt%になるよう調製し,融解帯は移動速度20~100 mm/hrで下方に移動させ,かきまぜ速度は0~200 rpmに変化させ実験を行なった。
その結果,析出する結晶に溶融体の包含される割合は,系Aでは87%,系Bでは12%となり,分配係数が1より大きい系ではかなりの割合で液相が取り込まれることがわかった。融解帯のかきまぜは,さきに報告した共晶系の場合と同様に,A,Bいずれの系においても精製効果を高めることがわかった

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