1974 年 1974 巻 1 号 p. 54-59
クロム鉱石を水酸化ナトリウム硝酸ナドリウム系溶融塩で分解しクロム酸ナトリウムを生成させる反応について270~350℃の温度域で速度論的検討を行なった。
反応前後において鉱石の粒径はほとんど変化せず,この反応を外形不変の抽出型コア,モデルに基づいて検討すると,酸化率曲線は化学反応律速の場合の式
1- (1-x) 1/3 = kt
によく適合することが見いだされた。ここでXはクロム酸化率, kは定数, tは反応時間である。Arrheniusプロヅトから得られる見かけの活性化エネルギーは南ア,トランスバール産鉱石の場合29。2kcallmolであり,インドやブラジル産鉱石についてもほぼ同じ結果が得られた。
さらに,関連物質のX線分析結果から,この反応にさいして溶融誌面の水酸化ナトリウムがクロム鉱石の安定なクロマイト講造を破壊してCr203成分を易反応性にし,硝酸ナトリウムがこれをCr6"に酸化するとともにそれ自体は亜硝酸塩に還元される役割を果たすことが推察される。
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