1981 年 1981 巻 8 号 p. 1227-1230
含モリブデン(VI)水溶液からのモリブデンの分離にキレート樹脂が適用できるかどうかの知見を得るのを目的として,モリブデン(VI)のキレート樹脂への吸着性について検討した。キレート樹脂はイミノニ酢酸構造をもっDowexA-1を用いて,Na型で使用した。吸着試験はモリブデン濃度,pH,流速の影響などについてカラム法により行ない,流出液のpH,樹脂の体積変化および溶離についても検討した。モリブデン(VI)のキレート樹脂への吸着は溶液中のモリブデン濃度,pHなどにより異なり,pHO.85,2.1,5.5付近でのモリブデン吸着量はモリブデン濃度に影響されず,それぞれほぼ一定値となった。またpH2.1以上ではモリブデン濃度が高いほど吸着量は大きく,pH0.9から2.1の範囲ではモリブデン濃度が高いほど吸着量は小さくなり,pH8以上ではモリブデンはまったく吸着されなかった。キレート樹脂にモリブデン(VI)を吸着させるには,吸着量が最大となるpH0.5から0.9の範囲で効果的である。またキレート樹脂に吸着したモリブデンを溶離するための溶離液は,NaOH溶液がHCl溶液にくらべて低濃度溶液で溶離できt樹脂の再生も同時にできるので有効であった。
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