フッ素ガスおよびフッ化水素溶液中で陽分極によりフッ素化した銅板表面のフッ化物被膜を,ESCA,X線回折および走査型電子顕微鏡で研究した。ESCA測定条件下で,酸化銅(II)はX線照射により光還元をうけるが,フッ化銅(II)は還元その他の変化をうけない。しかしAr+イオン照射によりすべての銅2価化合物は還元をうける。フッ化銅被膜は酸素や水分の影響を容易にうけ,CuF2・2H2Oの生成が起こり,透明な被膜は黒みを帯びる。ESCA測定によれば,表面のF/O原子数比は最高0.8程度で空気暴露によりO/Cu比の増加と,F/O比の減少の進行が認められる。また被膜中のフッ素成分は,水,酸,アルカリ水溶液中への浸漬によりF-イオンとして液中に溶出する。
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