日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
チオシアン酸銅(I)の沈殿分離法による銅(II)の間接吸光光度定量
三浦 恭之石山 洋康 智三
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 1981 巻 8 号 p. 1250-1254

詳細
抄録

銅(II)はムーアスコルビン酸と反応して銅(I)にまで還元される。この銅(I)にチオシアン酸イオンを加えるとチオシアン酸銅(I)が沈殿する。本報は銅(II)をL-アスコルビン酸で還元したのち一定過剰量のチオシアン酸イオンを加えて反応させ,チオシアン酸イオンの消費量から銅(II)を定量する方法である。銅(II)を銅(I)にまで還元するときの最適pH範囲は2.6~4.6であった。生成したチオシアン酸銅(I)の微細な沈殿物は凝集剤を添加して凝結させ,つぎに遠心分離の操作を行なって除去した。本定量操作で得られた銅(II)の検量線は5×10-4mol/l(31.8ppm)までの濃度範囲内で良好な直線関係を示した。2.5×10-4mnol/lの銅(II)標準液5ml(79.4μg)を用て11回くり返し実験を行なった結果,平均吸光度は0.538で,標準偏差と相対標準偏差は吸光度単位で0.002と0.3%で良好な再現性を示した。5mgまでのコパルト(II)とニッケル(II),2.5mgまでの水銀(II),0.5mgまでのビスマス(III)と銀(I)の共存は妨害しなかった。本法を銀ろう,黄銅および砲金中の銅の定量に適用したところ,これら合金中の銅を正確に定量できることがわかった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top