日本化学会誌(化学と工業化学)
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ヨウ化カリウムを用いた電流滴定法による過ヨウ素酸塩中ヨウ素酸塩の定量とそのヒドロキシルアミンの微量分析への応用
佐竹 弘池田 早苗田中 雅美
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1981 年 1981 巻 8 号 p. 1260-1264

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抄録

過ヨウ素酸塩中のヨウ素酸塩を迅速i簡単かつ精度よく微量分析できる電流滴定法を開発し,微量のヒドロキシルアミンの定量に応用した。回転白金電極(+0.65Vvs.SCE)を指示電極,SCEを対極とする電流滴定法を用いると,1000倍モルの過ヨウ素酸と共存する微量(約40μg)のヨウ素酸カリウムを0.4%以内の相対誤差と0.2%以内の変動係数で定量できることが明らかになった。また,ヒドロキシルアミンに大過剰の過ヨウ素酸を反応させ,生じたヨウ素酸を同様に電流滴定することによって,微量(3~66μg)のヒドロキシルアミン塩酸塩を0.2%以内の相対誤差と変動係数で定量することも可能であった。過ヨウ素酸塩中のヨウ素酸塩を定量する場合には過ヨウ素酸に紺対して2倍モルになるようモリブデン酸アンモニウムを添加し,t3×10-1mol/lになるよう塩酸を加えてマスクしたのち,約10℃ で滴定するのが適当であった。ヒドキシルアミンを定量する場合には,試料溶液のpHを5~6とし,過ヨウ素酸をその約500倍モルロ添加しておだやかに約3分間煮灘して反応させ,過剰の過ヨウ素酸を同様にマスクしたのち,生成したヨウ素酸を滴定することにより定量した。
本法は過ヨウ素酸塩と共存する微量ヨウ素酸塩の感度の高い簡易な定量法として利用価値が高く,多くの還元性物質の微量分析た応用できるものと考えられる。

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