日本化学会誌(化学と工業化学)
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カドミウム(II)-N,N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレン ジアミン-N,N'-二酢酸錯体のポーラログラフィー
松尾 勉増田 嘉孝関戸 榮一
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1981 年 1981 巻 8 号 p. 1265-1270

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抄録

カドミウム(II)とN,N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジァミン-N,N'-二酔酸EDDA(OH)2を2:1,1:1,1:5の各混合比として,pHが3.12~8.77の範囲で,直流およびオシロポーラログラフによりポーラログラムを得た。直流のポーラログラムは配位子過剰の場合は一段波を,金属過剰の場合は二段波を与える。第1波(-0.596Vvs.SCE,pH=4.05)はlogプロットの勾配が30.3mVの可逆波であり,限界電流嫉水銀柱の高さおよび温度の影響の検討から拡散支配であると推定される。第2波(-0.958V)はlogプロットの勾配(55.9mV)から非可逆波で,その限界電流は拡散支配であると推定される。電流滴定の結果からカドミウム(II)とEDDA(OH)2の1:1錯体の生成が確認された。第2波の半波電位のpH依存度の検討から,pHが4.4近傍で反応イオン種がCdHL+からCdLへ変化することが判明した。第2波の電極反応機構はつぎのように推定される。
pH<;4.4, CdHL++H++2e+Hg→kj1Cd(Hg)+H2L (I)
pH>4.4, CdL+2e+Hg→kj2Cd(Hg)+L2-(II)また,Vlcekの拡張理論式により,非可逆的錯体還元の半波電位のpH依存度を知り,プロトン付加錯体の安定度定数,KcdHLを計算し,105.6を得た。機構(I),(II)の電極反応速度定数として,それぞれkj1=6.9x10-6cm/s,kj2=1.2x10-6cm/sを得た。

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