日本化学会誌(化学と工業化学)
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ジチオトレイトールおよびその環状ジスルフィド型酸化体のパルスポーラログラフィー
山口 整毅小西 津多子塚本 務人千田 貢
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1981 年 1981 巻 8 号 p. 1271-1278

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抄録

ジチオトレイトール(DTT)の環状酸化体(trans-1,2-ジチアン-4,5-ジオール,OX-DTT)はOVOから負電位方向に電位掃引したパルスポーラログラフィー(cspp)により直流波に対応して二段波(E1/2=0.413,-1.05Vvs.SCE,10-4mol/dm3 ,pH4.5)を示した。-1.5Vから正方向に電位掃引したとき(aspp),OX-DTTは直流第2波に相当する還元波(E1/2=-1.05V)とDTTの酸化第1波に相当する酸化波(E1/2=-0.44V)を示した。DTTのasppにおいても同じ電位に一段の酸化波が認められた。DTTのcsppは10-4mol/dm3以下の濃度で-0.475Vに頂点をもつ山形の波(DTTの水銀塩(単分子層)の還元に対応)を示し,さらに,高濃度ではより正電位側に二つの史形の波(-0.35,0.43V)が現われた。この山形の波形はパルス波印加後の電流の減衰速度がパルス電圧が負になるにしたがい急激に大きくなる結果現われたものと理解される。DTTの検出限界はDMEをT用いるcsppで3×10-7mol/dm3.5分間.0Vの前処理でDTTを表面に濃縮したHMDEを用いる通常の陰極溶出法で10-11mol/dm3であった。システイシおよびジスチンのcspp,aspp波の挙動はそれぞれDTTおよびOX-DTTのcspp,aspp波のそれに基本的に一致した。

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