1981 年 1981 巻 8 号 p. 1283-1286
ロジウム錯体によるメチレンコハク酸ジメチル〔1〕,シトラコン酸ジメチル〔2〕,メサコン酸ジメチル〔3〕,エチリデンコハク酸ジメチル〔4〕,イソプロピリデンコハク酸ジメチル〔5〕の異性化反癒が研究された。トリス(トリフェニルボスフィン)ロジウム(I)塩化物と塩化スズ(II)二水和物とからなる複合錯体が異性化反応に対して触媒活性をもつことがわかった。本触媒の存在下,100℃ で〔1〕は〔3〕に異性化したが,塩基触媒による場合よりも高い反癒温度を必要とした。このロジウム-スズ複合錯体を用いて〔1〕の異性化における速度論の研究から,反応速度はエステルとロジウムの膿度にそれぞれ一次であり,内部オレフィンである〔2〕や〔3〕から〔1〕への異性化はきわめて遅いことがわかった。100℃ における〔1〕の異性化生成物は〔1〕29%,〔2〕3%,〔3〕68%の擬平衡組成に達した。塩基触媒による異性化と比較しながらこれらの実験結果に考察を加えた。
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