日本化学会誌(化学と工業化学)
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2,3-ジシアノ-1,4-ナフトキノンと求核試薬との反応
中森 建夫岡野 隆笠井 俊保
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1981 年 1981 巻 8 号 p. 1287-1294

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抄録

2,3-ジシアノ-1,4-ナフトキノン〔3〕は強い電子受容体としての性質が期待される興味ある化合物である。そこで〔3〕を収率よく合成し,〔3〕と種々の求核試薬との反応を行なった。求核試薬としては脂肪族アミン,アミド類,ピリジン類およびアニリン類を用い,〔3〕のシアノ基1個が置換した〔4〕~ 〔25〕を得た。アニリン類のうち,アニリン,o-置換アニリン,p-置換アニリンでほアミノ基で置換した化合物(N-置換体)〔11〕~ 〔17〕が得られ,2,6-二置換アニリンではN-置換体〔24〕とアミノ基のパラ位で置換した化合物(C-置換体)〔25〕とが得られた。また,N置換アニリンではC-置換体〔18〕~ 〔21〕や〔22〕が得られた。そこでN-置換ア二リンのうちN,N'-ジメチルアニリンとの反応を詳細に検討したところ,エタノール中では〔19〕が収率よく得られるが,アセトニトリル中では〔19〕のほかにCrystalViolet〔31a〕カミ生成することがわかった。また,ジフェニルアミンとの反応でにσ 錯体と思われる〔23a〕が単離でき,これを熱夢解するとC-置換体〔23〕が得られた。2,6-キシリジンとの反応では,HF中ではN-置換体〔24〕が,メタノール中ではC-置換体〔25〕が得られ,溶媒による選択性がみられた。これら得られた化合物の可視吸収スペクトルはC-置換体がN-置換体にくらべ深色効果が大きかった。

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