日本化学会誌(化学と工業化学)
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テトラクロロエチレン媒体中での染着における分散型アゾ染料とポリ(テレフタル酸エチレン)繊維との相互作用
御園 生尭久阿部 芳首長尾 幸徳大和田 豊一
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1981 年 1981 巻 8 号 p. 1299-1305

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抄録

テトラクロロエチレンを媒体としたときの,ポリ(テレフタル酸エチレン)繊維に対する分散型アゾ染料の染色結果と熱力学的関数から染料・繊維間の相互作用を検討した。
精製した15種類の染料の90~110℃ における等温吸着曲線,および30~60℃ における溶解度を求めた。等温吸着曲線は染料の種類や温度には関係なく,測定範囲内で分配則が成立しているので,得られた直線の傾きから各温度における分配係数を求めた。さらに,これらのデータから熱力学的関数値を求め,これと染料の置換基の違いに基づき染着機構を考察した。その結果,染着熱(-ΔHodyeing)と溶解熱(ΔHosoln)との間に直線関係が得られた。また見かけの親和力(-Δ oμapp)と溶解のさいの自由エネルギー変化(ΔFosoln)との間に,カップリング成分の置換基の違いにより異なった直線関係が成立していることなどから,置換基によって染着機構が異なっていることがわかった。そして,カップリング成分にジェチルアミノ基を有する染料の双極子モーメントの二乗と染着熱との間に直線関係が得られたことから,これらの染料に極性vander Waals力の寄与していることがわかった。

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