日本化学会誌(化学と工業化学)
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NMR法およびORD-CD法による芳香族グリコピラノシドのアノマ-立体構造解析法の検討アグリコン,グリコシドヘテロ原子および糖部分構造のおよぼす影響
木幡 勝則大滝 恵美理鈴木 千枝子目黒 黙
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1982 年 1982 巻 10 号 p. 1609-1616

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抄録

1-チオグリコピラノシドおよびグリコピラノシドを用い,そのアノマ-立体構造解析を 1H-NMR13C-NMRおよびORD-CD法より行ない,アグリコン,グリコシドヘテロ原子,糖部分構造のおよぼす影響について系統的に比較検討した。
その結果,1H-NMRのH-1とH-2の結合定数(J1.2)法,H-1化学シフト法および18C-NMRのΣ13C(C-1~C-6化学シフトの総和)法はいずれも従来の経験則と一致していた。とくにH-1化学シフトはORD-CD法から得られた環酸素バンドの旋光強度と良好な直線関係を与え,この二つの測定値がH-1と環酸素の空間配置関係をよく反映していることを示した。,注意すべき点は,13C-NMRのC-1化学シフト法で,従来のδβα則はグリコシドヘテロ原子を酸素から硫黄に置換したphenyl1-thioglycopyranasideでは成立しなかった。このδαβ の逆転の傾向は,アグリコンがアルコキシル基・フェノキシル基p- ニトロフェノキシル基にかわることにより助長され,アグリコン部の電子軌道の広がりとほぼ一致することから,おそらくアキシアル配向アグリコンによる正の磁気異方性効果(デシールド効果)によるものと推定した。.

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