日本化学会誌(化学と工業化学)
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極性溶媒中でのポリリン酸およびポリリン酸エステルによるD-グルコースの重縮合反応
大野 泰雄佐藤 俊彦槌谷 純矢口 時也
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1982 年 1982 巻 10 号 p. 1645-1650

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抄録

D-グルコスを出発物質とし,溶媒としてジメチルスルポキシド(DMSO),N,N-ジメチルホルムアミド(DMF),縮合剤としてポリリン酸(PPA),ポリリン酸エステル(PPE)を用い,種々の組み合わせによって重縮合反応を行ない,無色でもっとも収率よくグルカンを得る最適反応条件を求めるとともに,その合成グルカンの構造につき種々検討を加えた。
その結果,最適反応条件は,DMSO-PPA系,DMSO-PPE系,系およびDMF-PPE系,いずれの重縮合反応系でも,無水 D-グルコース20.0gに対し,縮合剤(PPAあるいはPPE)30.0g,溶媒(DMSOあるいはDMF)50.O ml,反応温度50℃,反応時間7時間で無色粉末の永溶性合成グルカンを得た。合成グルカンの収率および性状から,溶媒としてDMSOがDMFよりすぐれていることがわかった。さらに過ヨウ素酸酸化法およびSmith分解法によって合成グルカンの構造を検討した。過ヨウ素酸酸化では過ヨウ素酸消費量にくらべてギ酸生成量が比較的多いとと,Smith分解ではグリセリンの生成量が多いことから,この合成グルカンは非還元末端の多いこと,すなわちα-な結合をより多くもつ,水溶性の分枝の多いグルカンであった。DPSO-PPE系の合成グルカンは,結合リン含量が小さく収率も高く乳酸化もうけにくい点などを考慮すると,DMSO-PPA系の合成グルカンよりすぐれていると考えられる。

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