日本化学会誌(化学と工業化学)
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2, 3-ジクロロ-5, 6-ジシアノ-P-ベンゾキノンによるフラバノン類の脱水素反応に関する速度論的研究
星野 行男竹野 昇
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1986 年 1986 巻 2 号 p. 157-164

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抄録

フラバノン[1]のDDQによる脱水素反応を乾燥ベンゼン中, 酢酸の存在下で行ない, そのときの反応速度をHPLC分析によって求めた。この反応はフラバノン濃度とDDQ濃度に関する二次反応として表わすことができ, そのさい見かけの二次反応速度定数, k2,aは酢酸の初濃度の1/2乗に比例し, さらにその対数は酸強度 (ρKa)にも比例することが明らかとなった。
またフラバノンの2-位の側鎖フェニル基上に種々の置換基を導入した11種のフラバノン誘導体([2]~ [12])について同様な反応を行ない, 速度におよぼす置換基効果を検討した結果, k2,aは求電子置換基定数, σ+に対してすぐれたHammett型直線自由エネルギー関係を与え, 電子供与性基は反応を促進し, 求引性基は速度を減少させた。反応はキノールカチオンによるヒドリドィオン, Hの引抜き段階を律速とする二段階イオン機構に沿って進行するものと考えられる。
Arrhenius-プロットから得た活性化パラメーターの検討の結果, この反応では等速関係劉が成立し, 算出された等速温度, β の値から反応がエンタルピー支配で進行することが判明した。

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