1986 年 1986 巻 2 号 p. 171-176
コバルト触媒による一酸化炭素と水素からのエチレングリコール(EG)の直接合成をトルエン中, 600から1800kg/cm2の圧力下で検討した。主たる反応生成物はEG, ギ酸メチル, メチルアルコール, エチルアルコールなどであった。
エチレングリコールの生成活性および選択率は反応圧の増加とともにいちじるしく増大した。一酸化炭素分圧と水素分圧の増加はエチレングリコールの生成活性と選択率を向上させることがわかった。1800kg/cm2(H2/CO=1)の圧力下におけるエチレングリコールの生成活性は約250℃で極大値を示した。250℃を過ぎるとメチルアルコールとエチルアルコールの生成が顕著になった。エチレングリコールの選択率は触媒濃度の増加により向上し,約180mmol[Co2(CO)8]/lで極大値を示した。触媒濃度の高いところではメチルアルコールの選択率が増大した。EGの生成速度は経時的に低下し, この速度の低下はエチレングリコールの蓄積に基づくことがわかった。
溶媒の影響について検討したところ, フェノールがエチレングリコールの生成に良好な溶媒であることがわかった。
主たる生成物の生成機構について考察した。
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