1987 年 1987 巻 9 号 p. 1632-1638
ガチオン界面活性剤であるオクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド(OTAC)水溶液に,1-ヘキサデカノール(C16OH)を配合すると,C16OHとOTACのモル比や,試料調製温度の違いによって,系の粘度や電気伝導度,融点などの物性値がいちじるしく変化した。これは,C16OH/OTAC/水の三者による会合体の形成の有無によるものであった。粘度や電気伝導度,融点は,いずれもC16OH/OTACのモル比1.5を境にしていちじるしく変化するが,これは,このモル比を境にして,形成される会合体が異なるためと予想された。
また,興味深いことに,モル比1.5上の系では,試料調製温度の違いによって,系の粘度にいちじるしい差が見いだされ,会合体の融点より低い55℃で試料を調製すると粘度の高い系が,融点より高い75℃で調製すると粘度の低い流動性のある系が得られた。本報は,C16OH/OTAC/水の三者による会合体の形成によってもたらされる粘度や電気伝導度,会合体の融点などの変化についての知見を報告する。
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