1987 年 1987 巻 9 号 p. 1639-1645
973K以上での高温焼成シリカゲル表面の特性を赤外分光法,滴定法,プロピレンオキシド異性化反応および光電子分光法によって検討した。大気中1173K,2時間の焼成体上の吸着ピリジンは1446,1598cm-1に赤外吸収ピークを与え,これは673K排気後も消失しなかった。同試料はH0≦+3.3の酸量0.041mmol.g-1を有するが,H_≧+7.2の塩基量は皆無で,化学吸着二酸化炭素の赤外吸収ピークも得られなかった。プロピレンオキシド異性化反応ではプロピオンアルデヒド,アセトン,アリルアルコール,アクリルアルデヒド,1-および2-プロパノールが生成し,前二者以外の生成物は反応機構上塩基点の存在も必要とする。これらの結果は高温焼成シリカゲル表面上にLewis酸点と塩基点が存在することを示している。
773K焼成体の光電子分光分析はAlとNaの存在を示した。Alの表面原子数は1.0×1013atom.cm-2と見積られ,H0≦+3.3の酸点密度9.4×1012site.cm-2と一致した。強いLewis酸点の発現はAlの共存によると結論された。同様に,Naの存在はシリカ表面に塩基性を付与していると推定された。プロピレンオキシド異性化反応と酸量,酸強度との関係にも考察を加えた。
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