1987 年 1987 巻 9 号 p. 1646-1653
種々の方法で調製した金属担持Y型ゼオライトの固体酸性質を調ぺるため,クメン分解反応およびトルエン不均化反応を行なった。常圧下でのパルス反応ではCu,NiおよびCo を担持したゼオライトではイオン交換法,真空含浸法のいずれの担持法でも,硫化水素気流中および水素気流巾で処理することにより活性が増大し,とくに硫化水素によりいちじるしく活性が増大した。これに対し,Fe担持ゼオライトでは硫化水素処理によりトルエン不均化活性は増大したが,クメン分解活性はさほど増大せず,水素処理によっては両反応とも変化を示さなかった。高圧固定床流通反応にてトルエン不均化活性を調べたところ,硫化水素/水素混合ガス気流中では部分的に脱アルミニウムの起こる条件でFeを担持した触媒(FeHY-1)がもっとも高い活性を示し,かつ炭素質の析出が少なく経時的にきわめて安定であった。FeHY-1のトルエン不均化活性に対する硫化水素の顕著な促進効果は,反応雰囲気申に硫化水素が存在するときに発現し,定常活性は硫化水棄濃度に依存することがわかった。
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