日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
メタノール転化反応中におけるカルシウム含有ゼオライトの酸性点の安定性
岡戸 秀夫庄司 宏佐野 庸治鈴木 邦夫清住 嘉道萩原 弘之高谷 晴生
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 1987 巻 9 号 p. 1654-1658

詳細
抄録

低級オレフィン合成用触媒として優れた性能を有するCa含有ゼオライト触媒の酸性点のメタノール転化反応中の安定性について検討した,600℃ でメタノール転化反応を行なうと,反応中に活性が高くなることがみとめられた儀この理由を調べるため,反応前後の触媒についてヒドロキシル基の赤外吸収きスペクトルを調べ,ついでKイオン交換可能量とXPS法による外表面Ca濃度の測定を行なった。その結果,反応後においてBrφnsted強酸点が増加し,Ca修飾により形成された弱酸点が減少し,また外表面Ca濃度が増加していることがわかった。これから,弱酸点を形成していたCaの一部が酸点から離脱して外表面へ移動することにより,強酸点を生成することが示唆された。つぎに,高活性化に対する反応温度,反応時間および水蒸気の影響を調べた。酸点からのCaの離脱は550℃以上の温度で捉進された。また,600℃で反応させると反応時問とともに高活性となり,約7時間で一定値を示した。さらに,このようなCaの離脱は熱処理のみでは進行せず,水蒸気の存在で進行することがわかった。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top