日本化学会誌(化学と工業化学)
Online ISSN : 2185-0925
Print ISSN : 0369-4577
Mossbauer分光法および電子顕微鏡観察による鉄担持Y型ゼオライトの研究
日高 節夫飯野 明実渕 武治仁田 健次前田 米蔵山添 昇
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 1987 巻 9 号 p. 1659-1664

詳細
抄録

市販のアンモニウムY型ゼオライト(NH4Y)を硝酸鉄(III)水溶液にて処理し調製した鉄担持Y型ゼオライトの電子顕微鏡観察およびMossbauerスペクトル測定を行ない,担持された鉄化学種の状態について検討した。電子顕微鏡観察により,担持された鉄化学種の粒子径は10A以下であること,室温もでのMossbauerスペクトル測定から鉄化学種は六配位の三緬の鉄であることがわかった。また,4.2KのMossbauerスペクトル測定では,幅広な磁気分裂(内部磁場の大きさ:46.0T)を示す鉄化学種と,比較的強い吸収をもち四極子分裂(同位体シフト:0.49mm.s-1,四極子分裂値=1.10mm.s-1)を示す鉄化学種の2種類が存在した。上に述べた磁気分裂はゼオライトのケージ内に担持された超微粒状酸化鉄により,また四極子分裂はゼオライト骨格と結合した鉄化学種によるものと推定した。

著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top