1987 年 1987 巻 9 号 p. 1665-1671
結晶構造の異なる二つの物質,セレン化鉛とセレン化スズ(II)からなる新しいタイプの人工超格子を合成し,その構造をX線回折法,および,透過型電子顕微鏡を用いた膜断面の観察により検討した。その結果,試料はほぼ意図したとおりの人工的長周期をもち,その組成変調は,階段関数を用いたステップモデルで表されるような理想的なものであることを確認した。また,NaCl構造で禁制である(001)ブラッグ反射のプロファイル,および,各層の面間隔の変化の観測から,試料が各層の厚さによって,4種の異なる構造をとることを見いだした。とくにセレン化鉛が6原子層以下,または,セレン化スズが4原子層以下のときに,膜全体に同一の結晶構造をもつ単結晶人工超格子が得られることがわかった。
この記事は最新の被引用情報を取得できません。