有機化合物の塩素化,あるいはホスゲン化などの行程で副生する塩化水素を分子状酸素を用い,350~400℃ の温度で酸化して塩素を回収する反応に使用するクロミアーシリカ触媒を開発した。この触媒は,塩化水素の酸化に対しもっとも高い活性をもつとされている銅系の触媒よりも大幅に高い活性を示した。この触媒は,工場から発生する副生鹿化水素を用いた連続運転にも耐久性を発揮した。
クロミア触媒上での塩化水素の酸化反応は,触媒の酸化還元機構により進行し,塩化クロムと酸化クロム間の反応サイクルにより進行するものではないと推定される。化学量論量より多い酸素の存在下で反応速度はr=kpPHOI8PO20.5で表わされ,反応の活性化エネルギーは45kcal/molであった。クロミアの触媒作用は,反応条件下で,触媒上に過剰酸素を保持する能力により発現し,その過剰酸素量は,6~7×10-4g.原子/g.触媒と見積もられた。クロミア上の過剰酸素と塩化水素との反応が,反応の律速過程と推定される。
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