日本化学会誌(化学と工業化学)
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大気中有機ハロゲン化合物長期間モニタリングのための捕集方法
川本 克也浦野 紘平
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1987 年 1987 巻 9 号 p. 1746-1752

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抄録

大気中にガス状で微量に存在する低沸点有機ハロゲン化合物を多数の地点で長期間にわたってモニタリングするために,これらを粒状活性炭に長期間連続的に捕集し,定量する方法を考案,検討した。
通気には,小型真空ポンプに毛細管を付けて吸引する方法を用いれば,長期間運転しても50~100ml/minの低流量が安定して得られた。活性炭としては,石炭を原料とする米国産粒状活性炭をO.25~O.42mmにふるい別したものが吸着性能,脱離性能とも優れていた。この活性炭を約5g充填したカラムを用いれば,上記流量で1~2週間,すなわち約2000lまでの大気申の有機ハロゲン化合物をほぼ完全に吸着できたが,これを2本直列に接続し,それぞれの吸着率を確認する方法が適当と考えられた。
カラムに吸着した有機ハロゲン化合物は,残留農薬試験用ヘキサンを30~50ml/hで50ml通液すれば,ほぼ完全に脱離できた。この脱離液をECD-GCで分析すれば,十分な感度で定量することができ,多数の地点で長期間にわたる汚染状況の把握が容易にできることが確認できた。

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