日本化学会誌(化学と工業化学)
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合成フッ素雲母の膨潤圧
北島 囲夫平野 訓酒井 康司田草川 信雄
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1995 年 1995 巻 10 号 p. 796-801

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抄録

フッ素雲母の膨潤特性を明らかにするために,一定容積をもつセル中で各種フッ素雲母の圧粉成形体(O.30g)を吸水・膨潤させたときに発生する応力をロードセルを用いて測定した.この発生応力は,吸水開始後約10時間で平衡に達した.膨潤平衡時の発生応力,すなわち膨潤圧は,圧粉成形体の気孔率によって変化し,気孔率が小さいほど吸水率(wt%)が小さくなり,膨潤圧は大きくなった.これから,各種フッ素雲母の膨潤特性は,規格化した条件下で比較する必要があり,気孔率または吸水率が同じときの膨潤圧値(MPa)を比較すると良いことがわかった.また,式量が著しく異なるフッ素雲母間で比較する場合,吸水率には雲母1mol当たりの吸水量(mo1)の値を,膨潤圧には1mmol当たりに規格化した換算膨潤圧(MPa/mmo1)の値を用いると良いことがわかった.このようにして,Li型フッ素雲母[LiMg2LiSi4O10F2]はそのGe同形置換体より膨潤圧が大きく,また,層電荷(x)の異なるNa型フッ素雲母[NixMg3-xLix (Si4O10)F2]では,層電荷の小さい雲母は層電荷の大きい雲母より膨潤圧が大きいことが判明し,規格化した条件下での膨潤圧の値はフッ素雲母の膨潤特性を表す有効な特性値となることがわかった.

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