日本化学会誌(化学と工業化学)
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L-アスコルビン酸/酸素系による水溶性合成高分子の分解
青木 修三上林 宏
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1995 年 1995 巻 10 号 p. 816-822

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抄録

数種の水溶性合成高分子,ポリアクリル酸ナトリウム(PSA),ポリメタクリル酸ナトリウム(PSM),ポリ(2-エチルアクリル酸ナトリウム)(PSE),ポリアクリルアミドおよびポリエチレソオキシド,をpH7に調整したリン酸緩衝液中30℃ で,L-アスコルビン酸(ASA)存在下に空気を導入することで分解した.分解の進行は溶液の相対粘度の変化により追跡した.これらの高分子はいずれも容易に分解すること,さらにアクリル酸誘導体の系列では分解性はPSE < PSA < PSMの順で大となることが認められた.またASAの消失からの反応の追跡も行った.高分子の分解は,ASAの酸化過程で生成するヒドロキシルラジカルによる高分子のα-水素の引抜きおよび/またはヒドロキシルラジカルとカルボソ酸アニオソとの間の電荷移動によるアシルオキシルラジカルの生成とそれに続く脱炭酸により開始されるものと推定された.市販過酸化水素水との比較では,ASAの方が著しく高活性であり,その安全性をも含めて水溶性高分子の分解処理剤として有用であると認識された.

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