1995 年 1995 巻 10 号 p. 823-829
1993-95年にかけて広島県内(広島市,東広島市,瀬戸内海上)の大気および雨水中有機酸濃度をイオンクロマトグラフィーにより測定した.測定した大気中有機i酸濃度は,ギ酸が0-8ppbv,酢酸が0-12ppbvであり,昼間に高く夜間に低いという日周変化が見られた.東広島における降雨中有機酸濃度は,ギ酸が0-38μM,酢酸が0-24μM,シュウ酸が0-1.5μMであり,それぞれ初期降雨に濃度が高いことがわかった.測定した有機酸の雨水中全酸性物質に占める割合を計算した結果,東広島において加重平均値として8.0%(3.1-15.0%の範囲)であった.したがって,有機酸は雨の酸性化に数%以上貢献していると考えられる.大気中有機酸の発生源を解明するために,自動車の排ガス及び焼却炉の燃焼ガス中有機酸濃度を測定したところ,ギ酸及び酢酸が数ppbv-数百ppbvレベルで検出された.シュウ酸は検出されなかった.
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