日本化学会誌(化学と工業化学)
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高分子固体電解質による色素増感チタニア太陽電池の固体化と長期安定性
松本 雅光宮崎 裕光神代 善正
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1997 年 1997 巻 7 号 p. 484-488

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抄録

色素増感チタニア太陽電池は低コストな太陽電池として注目されているが,電解液を用いる湿式電池であるため,儒頼性,特に長期安定性に問題があるとされる.これを解決するために,オリゴエチレングリコールメタクリレート溶液をチタニア薄膜に浸透させた後,重合することで,薄膜内部に固体電解質を形成し固体化電池を作製した.溶媒としてプロビレンカーボネートを用いて作製した電池は,エチレングリコールを用いた電池に比べて2倍の短絡電流を与えた.重合方法としては光重合法よりも熱重合法の方が開放電圧,短絡電流フィルファクター(f,f.)のいずれにおいても優れた結果を与え,1.7倍の光電変換効率を示した.プロピレンカーボネートを溶媒として用い,熱重合によつて作製した固体化電池のAM1.5,照度1000W/m2における光電変換効率は1.7%であった.高分子内の電荷移動は少なくとも4mA/cm2までは拡散律速の影響を受けなかった.紫外線と赤外線をカットした150Wのハロゲソランプ光を用いた連続照射による長期安定性試験において固体化電池は8000時間安定に機i能した.総発生電荷は1×104C/cm2であり,色素の安定性が確認されると共に,固体化により電池の信頼性が飛躍的に向上することが確認された.

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